ワイナイナコース 重信川ラン

あなたの体はあなたの食べたものによって、
あなたの頭はあなたの読んだ本によって、
あなたの心はあなたが関わった人によって、作られている、とギリシアの偉人が言っていました。

充実した生活を送るためには、スローフードで良書を読み、友人を吟味する必要があるのは当然のこと。
人は生涯を通じて、インプットの結果がアウトプットであることを自分の身体でもって実践して、理解していくようです。
それでは、心身の健康は何によって作られるのでしょうか?
その答えはワイナイナコースを走る、春の重信川ランが知っています。

昨年10月のワイナイナランニング教室で使用した東温消防署前の3.9㌔の周回コース、なだらかな傾斜と見通しの良い直線路、桜並木の向こうに遠く石鎚を望む最高の環境です。
『これは本当のランニングコースです!』とワイナイナさんも絶賛してくれました。
まだ桜前線は到達していませんが、春の気配漂う3月12日、やる気満々のランナー41名が樋口公園に集合してくれました。

四段落の『起承転結』は小学生でも知っているはず、
今日は三周の三段落なので『序破急(じょはきゅう)』、日本芸能の言葉です。
序で始まり、破で展開、急で一気に盛り上げてクライマックスに持っていきます。

一周目、㌔6分ペースは余裕のスピード、うららかな春風の中、笑顔のおしゃべりランニングです。
人類史上、長きにわたり飢餓に苦しめられてきたので、人間の体はできるだけカロリーを消費しないように進化してきました。
少ない食べ物で長く生きられるように、多くのエネルギーを使う『ランニング』や『重労働』を嫌うのはある意味当然のこと。
しかし一方で、生きるためには野獣に追われながら採集し、狩りをしなければなりません。
走らなければ死んでしまいます。
省エネ我慢走法は人類本来の走り方であり、タイムや順位を競う陸上競技とは違います。
おしゃべりがあり、煽りもあり、苦しみもある、我慢してゆっくり走るウォーミングアップの一周目は24分。

『破』の二周目は㌔5分、現状打破のペースアップで途中から集団はばらけてしまいました。
『コーチ!暑いです』
『コーチ、だるいです!』
『疲れました!』
言っても言わなくても変わらないことは言わずに受け流そう。
強い犬は吠えない。頭と口を直結させるな。

『急』は一気に上げて㌔4分、最初は10人ほどの集団が数百メートルごとに振り落とされて最後は6年生ただ一人、最終周を16分で走り切りました。
ただ一人『序破急』を体現できた彼は中学では陸上部に入るそうです。
苦しさを我慢してワイナイナコースを走破した彼に幸あれと願わずにはいられません。
他のメンバーも三々五々それぞれのペースでゴール、12㌔弱を完走しました。

今回の重信川ランは4年生のK月君の発案によるもので、とうおんスポーツネットワークの藤岡さん、花山さんにもご尽力いただいて無事に終えることができました。
一緒に走ってくださった保護者の皆様、送迎の皆様ありがとうございました。
ランニングクラブOBの中学生も手伝いに来てくれました。

たった12㌔だけど一筋縄ではいかない、計画性や戦略が必要だし、我慢もしなければいけない。
そして多分、ひとりでは走り切れないであろう距離を完走したことで、短距離走ではない人生というマラソンコースを走るための道しるべを見つけたことと思います。
そのための心身の健康を保ち、作っていくのは、『走った距離』と『流した汗』に違いありません。
小学生たちの頑張りに拍手を送ります。

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