中島一周ラン

アメリカの有名な政治家が、こんな禅問答まがいのセリフで記者会見を大混乱に陥れました。

『知っていると知っていることがある。
 知らないと知っていることがある。
 知らないとさえ知らないこともある。』

何でも知っていると豪語するリーダーがもてはやされる世の中で、無知であることを告白するのはそれなりに勇気のいることです。
しかし知性のある人は、知らないことを知った時よりも、オレはこんなことも知らなかったのかと分かった時の方が感動が大きいことを知っている。
知らないことがあるかもしれない、好奇心、冒険、そしてお楽しみのバーベキュー、小学生たちのたくさんの思いを乗せて中島行きのフェリーは出港しました。

6月25日(日)、四年ぶりの中島ランは曇天の中、40名の大人数での催行です。
サポートのお父さん、お母さん、そしてお兄さん、お姉さん、とうおんスポーツネットワークからも荷物運搬車を出してもらいました。

20㌔というのは普通の小学生の走る距離ではありません。
走り切るにはそれなりのコツがいる。3つのポイントを伝授しよう。

①みんな、ここに来られたのは家族の支えとサポートの皆様のおかげ、感謝の気持ちを持ちましょう。
②マイナスの言葉はコロナ以上に伝染力が高い。けっして『疲れた』などとは言わないこと。
③走り方はまず右足を出す、次に左足を出す、それを2万回繰り返せば、20㌔進んでいるはず。以上!

分かっているのか、話半分なのかは定かではありませんが、8時50分大浦港を出発しました。
長距離走では序盤はウォーミングアップ、スタート前にダッシュ、ストレッチはする必要ありません。
㌔6分超で海岸線を進みます。
暑くもなく、寒くもなく、風もない。君たち気付いていないと思うけど、絶好のランニング日和だぜ。
風がないことに気付くには強風下でのランニング経験が役立ちます。
天候に感謝、きれいな舗装路にも感謝、休憩の木陰にも感謝しよう。

中島唯一のアップダウンで隊列が少し乱れ、行く先の困難を示唆しているようです。
坂道は脚が喜びます。2万歩は脚が喜びます。お年玉の2万円は小学生が喜びます。
疲れてもサポートカーには乗れない、みんなが頑張って走っている。
5㌔や10㌔走っただけでの疲れたは本当の疲れたではない。
ただひたすらに2万歩を稼ぐだけです。

島ランは海岸線の周回路を走るので迷いにくいですが、方向感覚が乱れます。
見通しが利かないので距離感がつかみにくいですが、景色の変化に富みます。
ほとんどすれ違うことのない車、客の乗っていない路線バス、これが令和の離島の姿です。
子ども、若者は見かけましたか?おしゃれで新しい民家はありましたか?
島ランは、知らない世界を垣間見る絶好の機会でもあります。

多少の不平不満を言いながらも、なんとか距離を重ねます。
『いいにおいがする~!』
さっきまでの半泣きの顔はどこへやら・・・、食欲は生命の源です。
予定より20分ほど遅れてBBQ会場に到着、お兄さん、お姉さんも献身的に動いてくれます。
ボク食べる人、と言わんばかりの顔で座っているだけのキミ、疲れているのはみんな一緒、働け!

ランニングはサッカーほど変化があるわけでもなく、超絶技巧を魅せることもないけど、個性を発露するには最高の場ではないかと思います。
黙々と走り続ける者、疲れをアピールする者、文句を声高に叫ぶ者、少数ながらも走れることに感謝する者・・・。
成功者は感謝する、不平を言わず運命は受け入れる、脚を交互に動かして前に進む。
22.7㌔を2時間12分、1㌔5分49秒ペースで(とりあえず)全員完走しました!
恒例の『中島万歳!』もそこそこにフェリーに乗り込み帰路に着きました。
余裕の日程を組んだつもりだけど、結構ギチギチ、慌ただしい中島ランでした。

その昔、先輩のY作君が
『コーチ、今日はここに来られてよかったですね!』
との名セルフを披露してみんなを感動させてくれました。
最近、表情筋の動きが特に悪くなっている新沢コーチ、サングラスしてボソボソしゃべっているけど今日は皆が頑張ってくれて嬉しかったですよ。
子どもが喜ぶ、頑張る姿はそれだけで価値がありますよね。

今日の中島ランで、小学生たちが今まで知らなかった長距離走を、知ることができました。
世の中には100㌔走、24時間走、4000㌔を超える超長距離走などがあります。
20㌔超を走ってもまだまだ知らない世界があることを知っていくおくのは、今後の役に立つはずです。

冒頭の政治家は、ドナルド・ラムズフェルド国防長官。
『知っていると・・・』の発言は英語のテスト、入試で出題される可能性大です。
簡単な英語で難しいことを言う格好の材料だと思います。

サポートの皆様、保護者の皆様、ご協力ありがとうございました。
ただ走るだけだけど、充実した四年越しの梅雨の中休みでした。

この記事を書いた人